12ヶ月点検(法定点検)はしないとどうなる?罰則の有無や費用相場、車検との違いを徹底解説

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車を所有していると必ず耳にする「12ヶ月点検(法定点検)」。

2年に1度の「車検」とは異なり、受けなくても罰則がないといわれているため、正直受けるべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、12ヶ月点検は法律で定められた使用者の義務です。罰則規定こそありませんが、点検をスキップすることでメーカー保証が受けられなくなったり、万が一の事故時に責任を問われたりと、思わぬリスクを負う可能性があります。

この記事では、12ヶ月点検と車検の決定的な違いや、受けない場合に起こりうる具体的なデメリット、業者別の費用相場まで徹底解説します。無駄な出費を抑えつつ、愛車に長く安心して乗るために必要な知識を身につけましょう。

目次

12ヶ月点検(法定点検)とは?車検との違い

車を所有していると定期的なメンテナンスが必要になりますが、「車検」と「12ヶ月点検」の違いを正確に把握できている人は意外と少ないものです。

どちらも車を点検することに変わりはありませんが、実はその「目的」と「チェックする範囲」には明確な違いがあります。

まずはこの2つの違いを整理し、なぜ両方が必要なのかを理解しましょう。

そもそも12ヶ月点検(法定点検)とは?目的と必要性

12ヶ月点検(法定点検)とは、道路運送車両法という法律で定められた「車の使用者の義務」です。自家用乗用車の場合、1年ごとに実施することが義務付けられています。

この点検の最大の目的は、車が故障してから修理するのではなく、故障する前に不具合の芽を摘む「予防整備」にあります

根拠法令道路運送車両法第48条(定期点検整備)
対象自家用乗用車など
目的故障の予防、安全性の維持、環境保全

ブレーキの摩耗具合やエンジンの状態など、外観からは分からない内部の劣化を確認し、突発的なトラブルや事故を防ぐために行います。

【図解】12ヶ月点検と車検の違い

「12ヶ月点検」と「車検」は、どちらも法律で義務付けられていますが、その役割は全く異なります。最大の違いは安全に乗るための健康診断(12ヶ月点検)か、公道を走る許可をもらう検査(車検)かという点です。

比較項目12ヶ月点検
(法定点検)
車検
(継続検査)
主な目的故障の予防
(安心して乗るため)
公道の走行許可
(保安基準を満たすため)
サイクル1年ごと2年ごと
(新車は初回3年)
法的義務あり(義務)あり(義務)
罰則なし
(自家用車の場合)
あり
(免停・懲役・罰金)
点検項目*26項目
(ブレーキ、ベルト類など)
56項目
(12ヶ月点検項目+下回り等)
費用目安10,000円〜20,000円10万円前後
*自家用車の場合

比較表の通り、12ヶ月点検には罰則がありません。

しかし「罰則がない=やらなくていい」わけではなく、あくまで「自家用車なら自己責任で管理してください」という法律のスタンスによるものです。

車検を通すだけではチェックされない項目も多いため、安全維持には両方の実施が不可欠です。

12ヶ月点検を受けない人はどれくらい?実施率の現状

「義務ならみんな受けているはず」と思われがちな12ヶ月点検ですが、実態を見ると、毎年正しく実施している人は半数以下という驚きの結果が出ています。

自動車点検整備推進協議会の調査(2020年度)によると、自家用乗用車の点検実施状況は以下の通りです。

必ず実施している46.6%
車検の時に実施している40.3%
全く実施していない13.1%
※出典:自動車点検整備推進協議会「2020年度 自動車点検整備推進運動に関するアンケート調査」

このデータから分かるのは、「約53.4%(過半数)」の人が、法律で定められた1年に1回の点検を行っていないという事実です。

特に「車検の時に実施している(40.3%)」と回答した方の多くは、「車検さえ通せば大丈夫」と考えており、12ヶ月点検(法定点検)の必要性を正しく認識できていない可能性があります。

国土交通省の過去の調査(平成16年度)でも、自家用車の定期点検実施率は43.4%と低迷していました。

長年にわたり「半数以上の人が法定点検を受けていない(または車検と混同している)」状況が続いていますが、これは決して「受けなくていい」という証明ではありません

なぜ多くの人が点検を受けないのか?

同調査によると、定期点検を実施しない理由の上位は以下の通りです。

1位車検を受けているから(47.9%)
2位面倒だから(31.6%)
3位お金がかかるから(29.4%)

もっとも多い理由は「車検を受けているから」という誤解です。

しかし前述の通り、車検と12ヶ月点検は目的が全く異なります。「みんな受けていないから大丈夫」と流されるのではなく、この後に解説する「受けない場合のリスク」を正しく理解した上で判断することが重要です。

12ヶ月点検を受けないとどうなる?罰則とリスク

「みんな受けていないなら、自分も受けなくていいのでは?」 そう考える方も多いかもしれませんが、12ヶ月点検を無視し続けることには、警察に捕まる以上の「金銭的なリスク」や「責任問題」が潜んでいます。

ここでは、法律上の扱い(罰則)と、実際に点検を受けなかった場合に降りかかる具体的な不利益について解説します。

「知らなかった」では済まされない重要なポイントですので、必ず確認しましょう。

12ヶ月点検は法的義務はあるが罰則はない

結論から言うと、一般の自家用車(白ナンバーや軽自動車)の場合、12ヶ月点検を受けなくても罰金や減点といった法的な罰則はありません

しかし、これは「やらなくてもいい」という意味ではありません。 12ヶ月点検は「道路運送車両法第48条(定期点検整備)」という法律で定められた、車の使用者が必ず守るべき「義務」です。

日本の法律では、自家用車に関しては「自分の車の管理は、使用者が責任を持って行うこと(自己管理責任)」という考え方がベースにあるため、あえて罰則規定が設けられていないだけなのです。

「罰則なし」はあくまで自家用乗用車の話です。

バス、トラック、タクシーなどの「事業用自動車(緑ナンバー)」の場合は、点検を怠ると運送停止などの厳しい行政処分が科せられます。 車の用途によって扱いが異なる点を理解しておきましょう。

罰則がないため、警察に捕まることはありませんが、点検をサボることで生じる「実質的なペナルティ」は非常に大きなものになります。それが次項で解説する「保証」や「責任」の問題です。

【重要】12ヶ月点検を受けない場合の3つのデメリット

「罰則がないなら大丈夫」と油断していると、いざという時に数万円〜数十万円単位の損をする可能性があります。12ヶ月点検を受けないことで生じるデメリットは、主に以下の3つです。

メーカー保証が適用外になる(修理費が全額自己負担)

新車を購入すると、通常は3年または5年の「メーカー保証」が付いてきます。これは、エアコンやエンジン、パワーウィンドウなどが自然故障した際に、無償で修理してもらえる強力なサービスです。

しかし、ほとんどのメーカーの保証規定には「法令で定められた点検整備(12ヶ月点検)を実施していること」が適用条件として明記されています。

点検を受けていない期間に故障が発生した場合、たとえ保証期間内であっても「整備不良(ユーザーの管理不足)」とみなされ、保証対象外となるケースが非常に多いです。

注意!

エンジンやトランスミッションなどの重要部品が故障すると、修理費は数十万円にのぼります。「数万円の点検代」をケチった結果、保証が効かずに「数十万円の修理代」を払うことになっては本末転倒です。

下取り・買取時の査定額が下がる

将来車を乗り換える際、12ヶ月点検をきちんと受けていたかどうかが査定額に影響します。

その証拠となるのが、点検時に整備工場が記入する点検整備記録簿(メンテナンスノート)です。

記録簿に毎年の点検履歴が残っている車は、「大切に乗られてきた車」「整備が行き届いている車」として評価され、査定額がプラスになる傾向があります。

逆に、記録簿が白紙の車は「メンテナンス状態が不明な車」と判断され、査定額が減額されるリスクがあります。

整備不良による事故で「法的責任」が重くなる

万が一、整備不良が原因で事故を起こしてしまった場合、点検を受けていたかどうかが責任の重さを左右します。

例えば、ブレーキパッドの摩耗に気づかずブレーキが効かなくなって追突事故を起こしたとします。

もし12ヶ月点検を受けていれば「予見できない故障」として情状酌量の余地があるかもしれません。しかし、点検を受けていなかった場合は点検していれば防げた事故と判断され、安全運転義務違反や整備不良として、過失割合や法的責任が重く問われる可能性があります。

ピックアップポイント!

自動車保険(任意保険)においても、極端な整備不良が原因の事故と認定された場合、補償内容の一部に制限がかかるリスクもゼロではありません。「自分の身を守る」という意味でも、法定点検は必須です。

このように、12ヶ月点検を受けないことは一見「費用の節約」に見えますが、実際は「将来的な大きな出費」や「トラブルのリスクを背負う」ことと同義です。

目先の点検費用(1〜2万円程度)を惜しんで、数十万円の修理保証や社会的信用を失うことがないよう、リスク管理の一環として確実に実施することをおすすめします。

12ヶ月点検を受けることの3つメリット

12ヶ月点検は「義務だから仕方なく受ける」ものではなく、愛車を長く、安く、安全に維持するための有効な手段です。費用はかかりますが、それ以上の価値がある3つのメリットがあります。

故障の早期発見により、トータルの維持費が安くなる

車は数万点の部品で構成されており、ゴム部品やオイル関係は走らなくても経年劣化します。 点検を受ける最大のメリットは、こうした劣化を故障する前(修理費が安いうち)に直せることです。

点検した場合: オイル漏れのパッキン交換(数千円)で済む

点検しなかった場合: オイル漏れに気づかずエンジンが焼き付く(数十万円〜廃車)

このように、致命的な故障を防ぐことで、結果的に車の維持費を最小限に抑えることができます。

長距離ドライブでも安心できる(トラブル回避)

「ブレーキが効かなくなったらどうしよう」「高速道路で止まったらどうしよう」という不安を持たずに運転できるのは大きなメリットです。

プロの整備士が、ブレーキの残量、タイヤの亀裂、ベルトの緩みなどを数値に基づいてチェックしてくれるため、家族を乗せた長距離移動や、高速道路の走行も安心して行えます。

「点検整備記録簿」が残り、車の価値が証明される

前の項目でも触れましたが、12ヶ月点検を受けると「点検整備記録簿(メンテナンスノート)」に記録が残ります。これは車の「履歴書」や「カルテ」のようなものです。

将来、車を売却する際、記録簿がしっかりと残っている車はワンランク上のコンディションとして扱われます。中古車市場では、整備記録の有無が信頼性に直結するため、点検費用の一部は将来の買取価格として戻ってくると考えても良いでしょう。

ピックアップポイント!

近年の車は性能が良く、完全に壊れる直前まで普通に走れてしまうことが多々あります。「調子が良いから大丈夫」ではなく、「調子が良い状態をキープするため」に点検を受けるのが賢いカーライフの秘訣です。

つまり、12ヶ月点検にかかる費用は単なる「出費」ではなく、将来の故障や事故を防ぎ、車の価値を守るための「必要な投資」と言えます。

では、その投資額(点検費用)は具体的にいくらくらい必要なのでしょうか? 次の章では、依頼する業者によって大きく異なる「費用相場」について、詳しく解説します。

12ヶ月点検の費用相場と所要時間

12ヶ月点検にかかる費用は、車検の法定費用(重量税や自賠責保険料)のように金額が一律で決まっているわけではありません。

主に「どこに依頼するか(業者の種類)」と「車の大きさ(軽自動車〜大型車)」によって、料金設定は大きく変動します。

まずは、自分の車がどのくらいの価格帯になるのか、一般的な相場観を把握しておきましょう。

【比較表】業者別費用相場

「どこで受けるのが一番安い?」というのは、誰もが気になるところです。

12ヶ月点検の費用は業者によって大きく異なりますが、ここで注意すべきなのは、表示されている金額の多くは基本点検料(技術料)のみ」であるという点です。

実際には、この基本料金に加え、点検で見つかった劣化した部品(エンジンオイルやワイパーゴムなど)の部品代交換工賃が加算されます。

これらを踏まえた上で、業者別の基本料金の相場を見てみましょう。

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業者タイプ費用の目安(税込)特徴
ディーラー11,000〜25,000円費用は高めだが、専門知識が豊富でメーカー保証対応も可能。安心感はNo.1。
カー用品店10,000〜15,000円比較的安価。オイル交換などのついでに依頼しやすく、ポイント還元などのメリットも。
整備工場8,000〜15,000円地域密着型で融通が利きやすい。工場によって設備や技術力にバラつきがある場合も。
ガソリンスタンド7,000〜15,000円最も手軽で安価な傾向があるが、点検を実施していない店舗も多い。

※上記の費用相場は、2024年〜2025年時点における主要国産メーカー(トヨタ・日産等)の販売店および大手カー用品店(オートバックス・イエローハット等)の公開価格を基に、軽自動車から2,000ccクラスまでの平均的な基本料金を算出したものです。

基本料金以外にかかる「追加費用」に注意!

見積もりを見て「思ったより高い」と驚かないよう、代表的な消耗品の費用目安(部品代+工賃)も把握しておきましょう。

  • エンジンオイル交換:3,000〜6,000円
  • オイルフィルター交換:1,500〜3,000円
  • ワイパーゴム交換(2本):2,000〜4,000円
  • エアコンフィルター交換:3,000〜5,000円

特に不具合がなければ「基本料金のみ」で済みますが、オイル交換などの定番メンテナンスを含めると、基本料金プラス5,000円〜10,000円程度を予算として見ておくと安心です。

ちなみに、バッテリーやタイヤなどの高額部品は、必ずしもその場で交換する必要はありません。「あと半年は持ちますよ」と言われたら、後日安い店で交換するなど、緊急度に合わせて判断することがおすすめです。

12ヶ月点検の所要時間はどのくらい?

12ヶ月点検にかかる時間は、依頼する業者やその場の混雑状況によって異なりますが、大きなトラブルがなければ1時間〜2時間程度で完了するのが一般的です。

車検のように数日間預ける必要はなく、多くの場合は店内の待合スペースで休憩している間や、近くで買い物・食事をしている間に終わります。

◆業者別の所要時間の目安

あくまで目安ですが、業態によって作業スピードや工程に以下のような傾向があります。

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業者タイプ時間の目安特徴
カー用品店
ガソリンスタンド
約60分〜90分スピード重視の傾向があります。ピット(作業場)が空いていれば比較的早く終わりますが、土日は混み合うため待ち時間が発生しやすいです。
ディーラー約90分〜半日点検項目を丁寧にチェックするほか、洗車や車内清掃のサービスが含まれる場合が多く、やや時間がかかる傾向があります。
整備工場半日〜1日即日対応してくれるところもありますが、「朝預けて、夕方引き取り」という「1日預かり」のスタイルをとる工場も少なくありません。

時間が長引くケースに注意

基本は数時間で終わりますが、以下の場合は作業時間が延びる、あるいは「後日再入庫」になる可能性があります。

  • 重度の故障が見つかった場合(部品の取り寄せが必要になるため)
  • 予約をしていない場合(飛び込みだと数時間待ちや、断られることも)

また、わずか1時間程度の作業でも、事前に電話やWEBでの予約は必須です。

特に長期休暇前は整備工場が混み合うため、予約なしで行くとその日のうちに点検を受けられない可能性が高くなります。事前にしっかりと確認しておきましょう。

12ヶ月点検の点検項目と持ち物

「12ヶ月点検では、具体的に車のどこを見るの?」
「車検と同じように、書類などの準備は必要なの?」

そんな疑問を持つ方のために、ここではプロがチェックする主な点検項目と、当日忘れると点検が受けられなくなる可能性がある必須の持ち物について解説します。

事前に内容を知っておくことで、整備士からの見積もり説明が理解しやすくなり、当日の手続きもスムーズに進めることができますよ。

主な点検項目(全26項目)の内訳

12ヶ月点検で行う項目は、道路運送車両法で定められた以下の全26項目です。

これらは主に、車が「走る・曲がる・止まる」ために欠かせない重要部品の摩耗や、液漏れなどをチェックするものです。

【エンジンルーム内の点検(9項目)】

ボンネットを開けて、エンジン本体やベルト、液類の漏れを確認します。

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項目具体的なチェック内容
1パワーステアリング装置ベルトの緩み、損傷
2点火装置点火プラグの状態(摩耗など)
3点火装置点火時期(エンジンの掛かり具合)
4点火装置ディストリビューターのキャップ状態※
5バッテリーターミナル部の接続状態(緩み・腐食)
6原動機(エンジン)排気ガスの状態(色、CO/HC濃度)
7原動機(エンジン)エアクリーナーエレメントの汚れ・詰まり
8冷却装置ファンベルトの緩み・損傷
9冷却装置冷却水(クーラント)の水漏れ
※近年の車(ダイレクトイグニッション方式)では該当しない場合があります。

【室内(運転席)の点検(3項目)】

実際に運転席に座り、ペダルやブレーキレバーの操作感を点検します。

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項目具体的なチェック内容
10ブレーキ・ペダル遊び、踏み込んだ時の床板とのすき間
11パーキング・ブレーキ引きしろ(踏みしろ)、ブレーキの効き具合
12クラッチ・ペダル遊び、切れた時の床板とのすき間(MT車のみ)

【足回り・下回りの点検(14項目)】

タイヤを外し、車を持ち上げて(リフトアップ)、ブレーキ内部や裏側の漏れを点検します。

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項目具体的なチェック内容
13ブレーキ全般ホースおよびパイプの漏れ、損傷、取付状態
14ブレーキ(液量)リザーバ・タンクの液量
15ブレーキ(液漏れ)マスターシリンダ、ホイールシリンダ、ディスクキャリパの液漏れ
16ディスク・ブレーキディスクの摩耗・損傷
17ディスク・ブレーキパッドの摩耗
18ドラム・ブレーキドラムの摩耗・損傷
19ドラム・ブレーキシューの摺動部分・ライニングの摩耗
20ホイールボルト、ナットの緩み
21タイヤ空気圧、亀裂、損傷
22タイヤ溝の深さ、異常な摩耗
23動力伝達装置トランスミッション、トランスファの油漏れ・油量
24動力伝達装置プロペラ/ドライブ・シャフトのダストブーツの亀裂・損傷
25エンジン本体潤滑装置の油漏れ(エンジンオイル漏れ)
26エグゾースト(排気)パイプ・マフラーの取付の緩み・損傷・腐食
その他燃料装置の燃料漏れ
※「燃料漏れ」を含めて数える場合や、ブレーキ項目をまとめて数える場合がありますが、チェック内容は上記の通りです。
注意!

電気自動車(EV)やハイブリッド車の場合、エンジンオイルや点火プラグなどの項目は省略されますが、代わりに「モーターの冷却水」や「高電圧ケーブル」など、独自の点検項目が追加されます。

当日の持ち物リスト

点検当日、「これがないと受けられない」というものがあります。

スムーズに受付を済ませるために、以下のものを必ず持参しましょう。

必須の持ち物

  • 自動車検査証(車検証)
    原本が必要です(コピー不可)。最近の「電子車検証(ICタグ付き)」の場合は、緑色の原本を持参しましょう。
  • 点検整備記録簿(メンテナンスノート)
    車検証と一緒にダッシュボードに入っていることが多い冊子です。今回の点検結果を記録するために必要です。
  • 点検費用(現金またはカード)
  • (あれば)メーカー保証書
    新車保証期間中の場合、保証継承の手続きに必要になることがあります。

【ロックナットを使用している場合】

  • ホイールロックナットのアダプター
    タイヤを外してブレーキ点検を行うため、盗難防止用のロックナットを装着している場合は、専用のアダプター(キー)を忘れずに渡してください。これがないと点検作業ができません。

ちなみに納税証明書や自賠責保険証は、車検の時とは違って12ヶ月点検では提示を求められないことがほとんどです。しかし、念のため車検証ケースに、一式入れたまま持っていきましょう。

12ヶ月点検はどこで受けるのがおすすめ?

12ヶ月点検は、車を購入したディーラー以外にも、街の整備工場やカー用品店、ガソリンスタンドなど、国から認証を受けた工場であればどこでも受けることができます。

ただし、どこで受けても「全く同じ」というわけではありません。

「費用をとにかく安く抑えたい」のか、「多少高くても完璧な整備を求めたい」のか、オーナーの優先順位によってベストな選択肢は変わります。

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比較項目ディーラーカー用品店・GS整備工場
費用の安さ
(高め)

(安い)

(中間)
技術・安心
(専門知識No.1)

(店舗差あり)

(工場による)
部品の品質
(純正部品)

(社外部品メイン)

(予算に応相談)
利便性
(要予約・混雑)

(手軽・早い)

(日曜休み多め)
おすすめな人・新車・輸入車の方
・完璧を求める方
・安さ重視の方
・古い車の方
・かかりつけが欲しい方
・相談したい方

それぞれの業者の特徴とメリット・デメリットを比較し、自分に合った依頼先を選びましょう。

安心重視なら「ディーラー」

費用が高くても、とにかく安心・安全を買いたい」という方には、間違いなくディーラーでの点検がおすすめです。

自社の車を知り尽くした専門の整備士が作業を行うため、技術力信頼性は他の業者と比較しても頭一つ抜けています。

特に新車購入から3年〜5年以内の車や、ハイブリッドカー・輸入車に乗っている場合は、ディーラー一択と言っても過言ではありません。

  • 専門知識が豊富
    そのメーカー特有の不具合やクセを熟知しており、的確な整備が期待できます。
  • 純正部品を使用
    交換部品はすべてメーカー純正品を使用するため、品質が保証されています。
  • 保証が確実
    メーカー保証(新車保証)を継続させるための条件を確実にクリアできます。
  • 快適な待合環境
    Wi-Fiやドリンクサービスなどが充実しており、待ち時間を快適に過ごせます。

ディーラーで点検を受ける大きなメリットの一つに制御プログラムのアップデートがあります。

スマホのOS更新のように、車のコンピューターも最新の状態に書き換える作業は、専用機器を持つディーラーでしか対応できないケースがほとんどです。

安さと手軽さなら「カー用品店・ガソリンスタンド」

とにかく安く済ませたい」「買い物のついでに終わらせたい」という方には、オートバックスやイエローハットなどのカー用品店、または車検の看板を掲げているガソリンスタンドがおすすめです。

最大の魅力は「コストパフォーマンスの良さ」「利便性」です。

ディーラーのように純正部品にこだわらず、性能に問題のない安価な社外部品(互換品)を使用するため、部品代を含めたトータルコストを大幅に抑えることができます。

  • 費用が安い
    基本工賃が低めに設定されている上、消耗品も豊富な在庫から安いものを選べます。
  • 特典がある
    ポイント還元や、ガソリン割引クーポンなどがもらえる場合があり、実質的なお得感が大きいです。
  • 行きやすい
    身近な場所にあり、土日祝日でも営業しているため、休日の空き時間に気軽に利用できます。

ガソリンスタンドならどこでも良いわけではありません。

12ヶ月点検を実施できるのは、国から認証を受けた認証工場または指定工場を併設している店舗に限られます。「点検受付中」ののぼりや看板があるか、事前に必ず確認しましょう。

また安さが魅力のカー用品店やガソリンスタンドですが、レジ前などで「水抜き剤」や「高機能添加剤」などの商品を強く勧められることがあります。

本当に必要か判断できない場合は、「今日は点検だけで大丈夫です」とキッパリ断る勇気も必要です。

付き合いがあるなら「整備工場」

昔からある「街の整備工場(自動車修理工場)」や、「車検専門店(コバックやホリデー車検など)」も、有力な選択肢の一つです。

ディーラーとカー用品店の中間的な立ち位置にあり、「技術力」と「費用の安さ」のバランスが良いのが特徴です。

特に、近所に顔馴染みの工場がある場合や、中古車を購入した店舗が整備工場を兼ねている場合は、相談もしやすく非常に頼りになる存在です。

  • 融通が利く
    マニュアル通りのディーラーとは違い、「まだ使える部品は交換しない」「安価なリビルト品(再生部品)を使って安く直す」といった、予算に合わせた柔軟な提案をしてくれます。
  • 技術力が高い
    様々なメーカーの車を扱うため、ベテラン整備士の経験値が高く、故障診断のスキルが高い工場が多いです。
  • かかりつけ医になる
    長く付き合うことで、「この車のクセ」を理解してくれており、ちょっとした異音や不調の相談に親身に乗ってくれます。

最近は「車検専門店」のフランチャイズチェーンも増えています。

これらは整備工場の一種ですが、システム化されており、料金体系が明確で初めてでも入りやすいのが特徴です。

個人の工場は怖いけど、ディーラーは高い」という方は、こうした車検専門店で見積もりを取ってみるのがおすすめです。

点検ステッカー(ダイヤルステッカー)の重要ルール

車のフロントガラスの助手席側上部に貼られている「丸いステッカー」。これは「点検整備済標章(ダイヤルステッカー)」と呼ばれ、法定点検を受けた車にのみ発行される証明書です。

実はこのステッカー、ただ貼っておけば良いというものではありません。扱い方を間違えると、知らず知らずのうちに保安基準違反になってしまう可能性があるため注意が必要です。

意外と知られていないステッカーの正しいルールについて解説します。

ステッカーを貼らないのは違反?期限切れの罰則

結論から言うと、この丸い点検ステッカーを貼っていなくても法律違反にはなりません。12ヶ月点検自体に罰則がないのと同様、このステッカーを貼らずに公道を走っても警察に捕まることはありません。

しかし、「期限切れのステッカーを貼ったまま」にしていると違反になります。

貼らないのは自由だが、期限切れを貼るのはダメ」 少しややこしいこのルールの理由は、道路運送車両法の「保安基準」にあります。

期限切れが違反になる理由

フロントガラスは、運転者の視界を確保するため、法律で「貼って良いもの」が厳しく限定されています(車検ステッカーやETCセンサーなど)。

ダイヤルステッカーは、特例として「有効期限内のみ」貼ることが許可されているものです。

つまり、期限が切れた瞬間に、このステッカーは「点検の証明書」から視界を妨げるただの不要なシールへと扱いが変わります。

そのため、期限切れのまま放置していると保安基準違反(視界不良)とみなされ、車検にも通らなくなります。

注意!

フロントガラスの中央上部に貼ってある四角いステッカーは「車検ステッカー(検査標章)」です。

こちらは貼り付けが義務であり、貼っていないと50万円以下の罰金が科せられます。

「丸いステッカー(点検)」は剥がしてもOKですが、「四角いステッカー(車検)」は絶対に剥がさないでください

12ヶ月点検を受けない(ユーザー点検や未実施の)場合、期限が切れた丸いステッカーは速やかに自分で剥がしましょう。「剥がすのが面倒だから」と放置するのが、法的には最もリスクが高い状態です。

正しい貼り方と古いステッカーの剥がし方

ディーラーや整備工場で点検を受けた場合は、業者が古いステッカーを剥がして新しいものに貼り替えてくれるため、何も心配はいりません。

しかし、今回点検を見送る(受けない)場合は、自分で古いステッカーを剥がす必要があります。

このステッカーは特殊な加工がされており、ただ爪で剥がそうとすると非常に苦労します。正しい手順と道具を使って、きれいに処理しましょう。

◆古いステッカーのきれいな剥がし方

ダイヤルステッカーは、盗難や偽造防止のため、一度貼ると剥がれにくい強力な接着剤が使われています。無理に手で剥がすと、糊(のり)がベタベタに残ったり、爪を痛めたりする原因になります。

  • スクレーパー(ステッカー剥がし用のヘラ/100均やカー用品店で購入可)
  • ウェットティッシュ、または水で濡らした雑巾
  • パーツクリーナー、またはシール剥がし液

フロントガラスの上部には、車種によって「フィルムアンテナ」や「衝突被害軽減ブレーキのカメラ」が設置されている場合があります。 スクレーパーを使う際は、これらを傷つけないよう十分に注意してください。

◆新しいステッカーの正しい貼り方

万が一、ステッカーを渡されて「自分で貼ってください」と言われた場合(または郵送で届いた場合)は、以下のルールに従って貼り付けます。

貼付位置:フロントガラスの助手席側の上部隅(外側から見て左上の角)

条件:運転席からの視界を妨げない位置であること。

基本的に「前回貼ってあった場所と同じ位置」に貼れば問題ありませんが、車検ステッカー(中央の四角いシール)と重ねて貼らないように注意しましょう。

12ヶ月点検の気になるQ&A

「自分で点検しても法的に問題ない?」
「点検を受けなかったことは、次の車検でバレる?」

最後に、ここまで解説しきれなかった、細かいけれど多くのドライバーが気になっている疑問について、一問一答形式で簡潔にお答えします。

勘違いしやすいポイントも多いので、最後にしっかり確認しておきましょう。

Q1.12ヶ月点検はいつからいつまでにやればいい?

Answer

基本的には、新車登録や前回の車検から「1年経過する日」の前後1ヶ月以内に受けるのが目安です。

例えば、車検満了日が「10月20日」なら、間の年の「9月20日〜11月20日」あたりに受けるのが一般的です。

また期限を過ぎてしまっても、いつでも受け付けてもらえます。「期限切れだから受けられない」ということは絶対にありません。

数ヶ月遅れでも、「やらない」よりは「遅れてでもやる」方が車にとっては断然良いので、気づいた時点で予約を入れましょう。

Q2.12ヶ月点検の時期が過ぎてしまったけど今からでも受けるべき?

Answer

結論としては、受けることがおすすめです。

点検の期日を過ぎたからといって、車の整備を拒否されることはありません。むしろ、時期がズレてしまっても「点検整備記録簿」に記録を残すことで、しっかりと管理されている車であることを証明できます。

ただし、次の車検(24ヶ月点検)まであと2〜3ヶ月しかない場合は、今あえて12ヶ月点検を受ける必要性は薄くなります。

その場合は、日常点検(空気圧チェックなど)で様子を見つつ、早めに車検の予約を入れるなどして、次回の車検時にまとめて整備するほうが経済的ですよ。

Q3.12ヶ月点検は自分でできる?

Answer

法律上は可能です。

自分の車の点検整備は使用者が行うことが原則とされているため、知識と技術があれば自分で点検し、点検整備記録簿に記入すること自体は違法ではありません(これを「ユーザー点検」と呼びます)。

ただし、以下の理由から一般の方にはおすすめしません。

  • 設備と技術が必要
    タイヤを外してブレーキ内部(ドラム等)を確認したり、車の下に潜ってオイル漏れをチェックしたりする必要があり、ジャッキや専門工具なしに行うのは危険かつ困難です。
  • メーカー保証の対象外になる
    メーカー保証を受けるための条件として「認証工場での点検実施」が求められるケースがほとんどです。自分で点検した記録があっても、保証修理を断られるリスクがあります。
  • 売却時のプラス評価にならない
    記録簿に記入があっても、プロの整備士印(認証工場のハンコ)がないものは、中古車査定の現場では「信頼性が低い」とみなされ、査定額アップにつながらないことが多いです。

あくまで「法律上は禁止されていない」というだけで、安全面や保証面のリスクは非常に高いと言えます。

数千円〜1万円程度の工賃を節約するために、命に関わるブレーキ整備などでミスをしては本末転倒です。よほどの専門知識がない限り、無理せずプロに任せるのが一番の安全です。

Q4.通知(ハガキ)が来ない場合はどうすればいい?

Answer

通知ハガキは、あくまで以前利用したディーラーや整備工場が「そろそろ時期ですよ」と親切で送ってくれているダイレクトメール(DM)に過ぎません。

国や自治体から届く公的な書類ではないため、手元になくても点検を受けるのに何の問題もありません

ハガキが来ない主な理由は、「引越しをして住所が変わった」「中古車で購入して顧客リストに入っていない」「前回の車検を別の場所で受けた」などが考えられます。

ご自身で、フロントガラスの丸いステッカーの数字(例:5とあれば5月)を確認し、その時期になったら自分から近くのお店に電話やWEBで予約をしましょう。

「ハガキがないと受けられない」ということは一切ありませんのでご安心くださいね。

まとめ

12ヶ月点検は、法律上の義務ではありますが、受けなくても罰金や減点といった罰則はありません。

しかし、その代償として「メーカー保証が切れる」「下取り価格が下がる」「事故時の責任が重くなる」という見えないリスクを背負うことになります。

この記事の重要ポイント

  • 罰則はないが、リスクは大きい
    「数万円の点検代」を惜しんで、「数十万円の修理代」や「社会的信用」を失うのは割に合いません。
  • 「安心」か「安さ」かで業者を選ぶ
    新車や輸入車ならディーラー、コストを抑えたいならカー用品店や整備工場と、自分のニーズに合わせて使い分けましょう。
  • ステッカーの管理を忘れずに
    点検を受けない場合でも、フロントガラスの期限切れの丸いステッカーだけは必ず剥がしてください(貼ったままだと違反になります)。

車は便利な反面、整備不良があれば命に関わる事故につながる乗り物です。

「壊れてから直す」のではなく、「壊れないように維持する」のが、結果的に最も安上がりで賢いカーライフと言えます。

まずは、愛車のフロントガラスを見て、丸いステッカーの数字(次回の点検時期)をチェックすることから始めましょう!

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